2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『萬狂言 春公演』(国立能楽堂)

を観に行った.演目は野村太一郎による「附子」と,野村万蔵による「瓢箪」(新作狂言),そして「花折」.「附子」と「花折」でそれぞれ主人と住持が野村萬.それで,かねてよりの懸案であった能狂言の「よさ」について,今回はじめてかなり腑に落ちた.ま…

Spanish Key

広田康生・町村敬志・田嶋淳子・渡戸一郎編,2006,『先端都市社会学の地平』ハーベスト社

読了.タイトルの割には「先端」感のきわめて薄い本だった.しかしこれに収められているエスノグラフィの中で,青山のオシャレカフェについて書いたものと,あとは渋谷のクラブについて書いたものは,なかなか面白い.自文化に対する疑いのなさ!

電力組曲(a. ダムの唄, b. 電力の道筋, c. 電化の暮らし)

『JAZZ TODAY In Komaba 2007』(東京大学駒場小空間)

に行った.友人に誘われて.誘われなければ行かなかった(プロモーターが気にくわないから)ので,誘ってくれたことに感謝.最初はDJ Moochyの演奏.編成はコンガが二人とラップトップだったのだが,ずっと,〈ほんもの/にせもの〉ということについて考えて…

Julia

『澁澤龍彦―幻想美術館』展(埼玉県立近代美術館)

に行った.大して期待していなかったのだが,存外よろしかった.今まで知らなかった人としては,マックス・クリンガーに感銘を受けた.あとは,酒井抱一がやはり燦然と,孤高.あれはあり得ないよなー,と,大変に貧困な感じのヴォキャブラリーが大変にしっ…

You’re Our Two

今和次郎・吉田謙吉編著,1986,『考現学採集(モデルノロヂオ)』学陽書房

読了.たいへん面白い.面白いのだが,どうも冗長な感じがしないでもない.しかしこの猥雑な魅力は,きっと中学生くらいで読んでいたらやられていただろう.これを読むと,女性の靴下においてもっともしわが寄りやすいのは足首付近であることが分かります.

今夜はブギーバック/あの大きな心

『横浜能楽堂特別公演』(横浜能楽堂)

を観に行った.演目は,野村万蔵の「水汲」と友枝昭世の「伯母捨」.「伯母捨」は特筆すべき豪華キャストであったが,まぁ書かなくてもいいだろう.それで,この日の個人的なトピックは,能をどう受容するか,如何にして鑑賞するか,ということだったのだが…

憂悶の戯画

佐藤健二,1995,『流言蜚語―うわさ話を読みとく作法』有信堂

読了.タイトルの通り,うわさ話を読みとこうとしてしまうのだから驚きである.なぜ驚くかというと,それはやはりアンケートを使ってみたりインタビューをしてみたり,あるいは各種統計資料に対して統計学的分析を施してみたりする,ステレオタイプの社会学…

再会

関根康正編,2004,『〈都市的なるもの〉の現在〜文化人類学的考察』,東京大学出版会

読了.長かった.卑近な話としては,あとがきで北田暁大がアンファン・テリブルみたいな扱いを受けていて,それがなかなかに興味深かった.それは北田の書いたプロジェクトXについての文章に対してなのだが,プロジェクトXを身も蓋もなく分析することで,上…

Newsummerboy

ウディ・アレン監督,2002,『さよなら、さよならハリウッド』(脚本:ウディ・アレン,出演:ウディ・アレン / ティア・レオーニ,アメリカ,カラー)

をDVDで観た.面白かった.しかし,なあ.とにかく色々と観ないといけないな.ひとつ名台詞があって,それは,「マスをかいた後は自分を抱きしめたくなる」というものだ.ブログのタイトルなどにすると大変据わりが良いだろう.いや,皮肉でも何でもなく,よ…

すてきち

Dostoevskiy, F.M., 1866, Prestuplenie i nakazanie.(=1928,中村白葉訳『罪と罰 第三巻』岩波書店)

読了.気になるのは,いったいみんなが(まぁみんなって言ってもいろんなみんながあるけれど,まぁとにかくみんなだ)どれだけこの小説に感情移入して読んでいるのかということだ.自分は大いにした.可能性の限界を求めて自分を殺しに行く,というようなこ…

En Casa De Pedro El Cojo

日仏合同公演『別れの唄』(作:平田オリザ,演出:ロラン・グッドマン,三軒茶屋シアタートラム)

を観に行った.よかったんだけど,それでいいのか,という気もする.ウェルメイドに「いい話」に仕上がっていて,しかし,ただそれだけ.まぁ,それだけ,と言うからには,それ以上,の何かを想定しているはずなのだが,いったい自分がどのような「それ以上…

Baby You’re A Rich Man

AAPA『LF ロストフィッシュ/衝動を支配する残酷な魚を切り落とす物語』(企画/構成:上本竜平,振付:酒井幸菜・永井美里,舞台美術/照明:青木拓也,ZAIM本館屋上)

を観に行った.うーむ.ここのところもっぱら考えているのは佯狂ということと,あとはそれとは別にセクシュアリティだ.そして,この作品を観てやはりまた考えさせられる.この作品は,佯狂が陽性でセクシュアリティは陰性だ.セクシュアリティの不在.まぁ…

Eleanor Rigby

倉沢進・町村敬志編,1992,『都市社会学のフロンティア〜1 構造・空間・方法』日本評論社

読了.予想以上に重要な本であった.購入しなければならない.基本的に4人の文章がメインなのだが,それぞれにさらに別の4人がコメントをつけるという形式がまた奏功している.

Suite Pour 4 Pianistes