2008-01-01から1年間の記事一覧

三島由紀夫,1960,『美徳のよろめき』新潮社.

読了.途中で人生の達人みたいな老人が男女一名ずつ登場して,にわかにまるでおとぎ話のようになってしまい,びっくりさせられてしまう.とはいえ最後には主人公が自ら書いたおとぎ話のような手紙を破り捨てることで,おとぎ話のように人生を生きることが相…

GIRL FRIEND

『ユネスコによる「無形文化遺産 能楽」第一回公演』(国立能楽堂)

に行った.演目は,能「松風」(観世清和),狂言「萩大名」(野村萬),能「国栖」(近藤乾之助).もっと色々能を観てみたいと思ったのだった.思えば今まで喜多の能ばかり観てきたのであって,しかし,何にしろ比較することの認識利得はある.だいいち比…

さよならベイビー

大駱駝艦『ヤマウマレビト』(吉祥寺壺中天)

を観に行った.面白さがよく分からなかった.「ただからだがそこにある」ことの難しさ.「ただ」あることは難しいので,色々な文脈を考慮したりもするのであろうが,いや,そもそも,「ただからだがそこにある」状態が達成されれば,それはいいのか?「いい…

JON LORD -FPM DIE-GUY MIX-

『12月文楽公演』(国立劇場小劇場)

に行った.素晴らしかった!子どもを表象することというのはすべからく難しいことだろうと思うのだけれど,並外れたバランス感覚で何とかなっている.たぶん何とかなっているはずだ.しかし親子の話というのは本当に暴力的な効果を持っていて,ひどいもので…

Kalimba Story/Sing A Message To You

『森山大道 ミゲル・リオ=ブランコ写真展』(東京都現代美術館)

に行った.やっぱりよかったー.どういう空気感の違いなのか,先日の写美の「ハワイ」に比べて,落ち着いて,沈鬱でさえあるような気もした.メインの展覧会は「ネオ・トロピカリア――ブラジルの創造力」というものだったのだけど,これもなかなか面白かった…

素敵な夢を叶えましょう

『友達』(作:安部公房,演出:岡田利規,出演:小林十市・麿赤兒・若松武史ほか,三軒茶屋シアタートラム)

を観に行った.とにかく,戯曲の力と,あとは麿赤兒と若松武史が同じ舞台に乗ってることの凄さ,に圧倒された.演出も,戯曲の持つ恐ろしさがストレートに伝わるもので,よかったのだろうと思う.そうか,こういうことも出来るのか,と思った.しかしこの戯…

The Continuing Story Of Bungalow Bill

中島哲也監督,2004,『下妻物語』(原作:嶽元野ばら,出演:深田恭子・土屋アンナ・宮迫博之・篠原涼子・樹木希林・岡田義徳・阿部サダヲ・小池栄子・荒川良々・生瀬勝久ほか,音楽:菅野よう子,日本,カラー)

を観た.DVDで.素晴らしかった!素晴らしいポイントが多すぎて,何を書いたらいいのか分からない.自分の愛する映画というのは,別にこういうことではないはずなんだけれども,でも,こういう映画もどんどん作られたらいいと思う.何というか,うまく言い表…

Had It With You

長澤雅彦監督,2002,『卒業』(出演:内山理名・堤真一・夏川結衣ほか,日本,カラー)

を観た.DVDで.演技にも脚本にも難があり,感情移入などは到底出来ないのだが,妙に力のぬけた作りになっていて,よいな,と思う部分が随所にある.映画としては凡百,というか,歴史に埋もれていく作品のひとつであろうかとも思うが,個人的な事情により思…

Moonrock Mambo

『創作舞踊“欲望という名の電車”』(原作:テネシー・ウイリアムズ,演出:花柳輔太朗,音楽:宮川彬良,出演:藤間紫・花柳寿美・泉翔蓉・花柳基ほか,ル・テアトル銀座)

を見た.NHK教育「芸術劇場」の録画.よかった!大好きな花柳基先生のスタンレーというのが,全く想像がつかなかったのだが,凄くしっかりマッチョで,驚いた.でも,そりゃそうか,何でも出来るよな,と思った.それにしても,各スタッフ細部の結構と,それ…

本日のさんぽ

worst taste presents『潜水フェティシズムVol.8』(高円寺20000v)

に駆けつけた.能を観た後には特に明らかなことだけれども,情熱や衝動というのは,やはりそれ単体では何ともしようがない.何か功利主義的でいやな言葉ではあるが,やはり,昇華は必要だ.情熱や衝動に寄りかかってはいけない.それで,前半の爆音バンドは…

『友枝会』(国立能楽堂)

に行った.能「橋弁慶」(友枝雄人),狂言「清水」(野村萬),能「半蔀」(友枝昭世),能「道成寺」(井上真也)という,フルボリュームのラインナップであった.特筆すべきは,道成寺の乱拍子は,15秒に一度だけ小鼓が打たれてシテがほんの少しだけ動く…

Mrs. Robinson

島田雅彦,1995,『彼岸先生』新潮社.

読了.面白かった.全然いらいらしたりしなかった.むしろ面白かった.自分よりダメなやつがいるぞ!(そしてそのダメさはよく分かるぞ!)という面白さは,文学の面白さのかなり主要な部分だろうと思うが,自分よりダメというのは,自分と同じ種類のダメさ…

ハワイ・サーティーン

『大琳派展――継承と変奏』(東京国立博物館平成館)

に行った.途中からはもうにやにやしてしまって仕方がない.どうしてこうも軽やかにこんなことが出来てしまうのか.ひたすら楽しかった.こんなに苦しくないことがあっていいのだろうか.という意味では,絵画は音楽よりもさらに純粋な部分を持っているのか…

China Pig

宮崎駿監督,2008,『崖の上のポニョ』(脚本・原作:宮崎駿,音楽:久石譲,日本,カラー)

を観た.新宿ピカデリー.大いに慰撫された.CMで既に何度も見ていて,お,これは,と思わざるを得ず,また全編通して見終わってもやはり心に残るのは,「ポニョ,そうすけ好き」というセリフであって,あなたがもし名前と共に好きとか大好きとかいうことを…

Boogie Wonderland

『粟谷能の会』(国立能楽堂)

に行った.能「絵馬」(粟谷明生),狂言「無布施経」(野村萬),能「木賊」(粟谷能夫)という,重いラインナップ.たいへんくたびれた.重い曲など,見慣れていないので,つい前後を忘れて没入してしまった.それにしても,脇能のめでたさと言ったらない…

Haven’t Got A Clue

BATIK『SHOKU』(構成・演出・振付:黒田育世,群馬県吉井町廃工場)

を見た.NHKの芸術劇場で.イデビアン・クルーはまぁやっぱりあまり面白くなかったが,BATIKはすごかった!素晴らしかった.頭をかきむしりたくなるような感じ,というか,自分の場合だと,前後の脈絡なく「あー」とか言いたくなる感じ,が,あたかも草間彌…