Proust, Marcel, 1987-1989, A la Recherche du Temps Perdu, 4 vol, Gallimard. 鈴木道彦訳『失われた時を求めて 上』,1992,集英社

読了。とにかく上巻だけ。素晴らしい!小説を読んで風景が違って見えるようになるというのは初めてだったので驚いた(映画なら今までもあった)。言語のはたらきについて、捨象という部分ばかりについて考えていたが、プルーストはむしろ数々のイメージを付加することで非常な効果をあげているように思われる。ほとんど迷走する意識のように読まれることを危惧してしまうような箇所も、よくよく読んでみればけっして日常的な経験からかけ離れた感覚を書いているのではないことが分かる。ような気がする。とにかくあらゆる感じでするっとくるというかぴんとくるというか、ここまで書けるのか、という気にさせられる。