de Maupassant, G., 1883, Une Vie : 杉捷夫訳『女の一生』,1934,岩波書店

読了。モーパッサン。まず気になるのは、フランス人の人名によくあるこの"de ..."という貴族っぽい名前を、「姓―名」の順に表記するその表記の仕方はこれで正しいのだろうか、ということである(全部大文字にしなくていいのかなど、ご存知の方は教えていただきたい。副社長、いかがでしょうか)。内容は、あまりぴんと来ない。あとがきでは精一杯の擁護はされているものの、結局かいつまんで言えばこの作品はプルーストに乗り越えられていく、という進歩史観まがいのことが書いてあった。しかしプルーストの方が遥かに、比べるのも申し訳ないくらい腑に落ちたのは確かである。この作品は過度に悲観的で、過度に間抜けであり、そうなるとどうもあまり悲しくなくなる。そういう過剰さのない感情にこそ心を動かされるし、「本当の」という枕を付けたくなる。もちろん本当の喜びや本当の悲しみなんていう言葉はどうしようもないほど駄目な言葉ではあるのだが。