『ONJO』(アサヒアートスクエア)

に行った。何をどう書いたものか。とにかく、現代で最高のパフォーマンスを誇るライブである、という認識の下に出向いた。厚生年金会館、ピットインに続いて三度目の大友良英ニュージャズオーケストラは、なんと、現代最高という認識からさらにヴァージョンアップしていた。語るに際して、たとえば冒頭でカヒミカリィが朗読を噛んでしまったこと、そのことを取り上げて全体を語るパースペクティブを構築することはもちろん可能であろうが、そんなポストモダン批評みたいなところに落ち着けてしまいたくないほど素晴らしい演奏だった。特に"Gazzelloni"でカヒミがニュースの朗読をするところなどは、なにかがあふれ出すどころの話ではなく、デリダが「爆発」と呼んだところのある種の乗り越え行為が現前しているという以上の体験があった。今日は"Eureka"はやらないのかなと思っていたら案の定アンコールで。落涙しそうになる。あまりのことである。普段いないメンバーとして伊集加代スキャットと江崎将史のトランペット、それに大蔵雅恵のコーラスが加わっていたのだが、大友良英は「いない方がまし」な人などけっして加えはしなかった。いや、そもそも誰かが「いない方がまし」になるという状況を構造的に回避していた、という方が彼の意図には近いかもしれない。とにかく、大変な事態になっていた。饗宴、とか、そんな言葉ではまったく不足。人間が二人以上いることの素晴らしさや美しさがあった。一大事である。大変なことになってしまった。