山崎敬一編,2006,『モバイルコミュニケーション〜携帯電話の会話分析』大修館書店

読了。ホント読む本なんて選んでらんないっすよ、端から読むんじゃボケナス!って感じであるが、やはり読んでみると少しは面白いところがあるのである。ただし少しは面白いからと言って時間をかけてはいけないのだな。さして面白くない本とかを偉そうに読んではいけない。少し面白かった箇所というのはメールのやり取りの終了に関するくだりだ。最初にメールを送った送り手が用件の確認を済ませて「了解。じゃあね」とメールした後に、受け手が即座に終了しない場面が扱われている。これが、「唐突な終了」を回避しながら、そして最初の「了解。じゃあね」を「終了部分」の前振りとして再解釈しながら、あるまとまった長さのメールのやり取りをお互いに「終了部分」として組織化していくことになっているのである。具体的なメールの内容としてはそれぞれ「了解。じゃあね」「今度はもう少し早く言ってくださいね」「そうね。直前に頼んじゃってすまん」「いやいやまた声かけてくださいよ」「うんうんそれじゃ頑張ってね」という終了部分が組織化されている。このように前振り的な終了を組織したしかる後にあらためて終了を行うことは相手への敬意を示す機能を持っている。まぁあくまで「機能」なので、前振りがないからと言って敬意が示されないかと言うとそんなことはない。それにしても、具体的なメールの内容とか会話の内容とか(イントネーションなどの多くの情報をふくむ特殊な表記をして、読んで実際の発話を再現できるように記述する、楽譜のような書き方をする)、本当に何の変哲もない内容なのに泣けます。まぁもし自分が他人だったら、日常的にこんな分析(もちろんちゃんとした本ではもっと精緻に、「分析」と呼ぶに値するようなことをしている)やってる人は気持ち悪いな。