『舞踏家大野一雄写真展 秘する肉体』(コニカミノルタプラザギャラリーB&C)

に行った。この日は大野慶人によるトーク&舞踏があるというので。しかし、無料の威力は凄まじいな!めちゃくちゃ混んでいて、踊りはあまりよく見えなかった。大野慶人以外にカナダから来た人とイタリアから来た人が踊ったのだが、カナダの人は終始低い姿勢だったのでほとんど見えず。イタリアの人の踊りはなかなかよかった!大野慶人にはあまりぴんと来なくて、イタリアの人の頭に乗せた大きな花が震える方に、心動かされたのだった。身体そのものが立ち現れてくるという舞踏独特の瞬間があった。普通に歩いたり座ったり、日常の起居の中では逆に身体は見えてこないというのは面白いことである。最後に大野慶人大野一雄に見立てた人形を踊らせるというパフォーマンスがあったが、これはよかった。しかし、会場が凄いことになっていた。明らかにプレスでもなんでもない人たちが、写真やビデオを撮るわ撮るわ、携帯のシャッター音も乱れ咲きである(ピロリローンってのとかカシャーッってのとか)。そこへもって混んでて全然見えないものだからみんな背伸びをして必死に見ようとする。駄目押しが大野慶人トークで、これはもう何というか権威主義とわざとらしさと偽善のごたまぜである。そしてそれが全然悪くない。褒め言葉である。イノセントを担保するような土俗というレトリックではなく、もう会場が完全に通俗そのものであって、新宿の真ん中、グッチが入っている建物の4階で通俗に浸されて舞踏をやる。観る。見え見えのトークに相好を崩すマダムたち、踊りを見ないでちゃんと写真が取れてるかどうか確認するあんちゃん、そしてアート系バカのねえちゃん。何もかも滑稽でいて、何も滑稽でない。ちなみに美術手帖をBTと言う様にAB(アート系バカ)とか言って、頑張ってそれらを馬鹿にしていた時期があった。DTって言葉はあれはポジティブな含意だったのだよな。今度からは東大生をTDとか言って馬鹿にしたらいいと思う。ちなみにトーク&舞踏が終わってから写真もみたのだが、写真としてあまりよいものはなかったように思う。ただ被写体がいいので、それでもっている。画像はアラーキーの「大野一雄先生を撮らせていただきました」。