ポール・オースター 1996『孤独の発明』(柴田元幸訳)新潮文庫

読了。面白い。訳者の功績も大変大きいと思われるのだが、文体が大変よい。多用される体言止めもまったくいやみでなく、孤独と意識と語ることと語ろうとすることと、その周りをぐるぐるまわる文章と、とにかく素晴らしい。と、これでは何が素晴らしいのだが全く分からない。実際によく分からないのだが、ひとつの特徴として引用の多さが挙げられると思う。引用の織物を生産することに対する自覚、あるいは自意識をなかなか素晴らしい形で文章化できている、という点はあるような気がするが、それとても気がする以上のことではないのでなんともはや。しかし面白かった。