ミクニヤナイハラプロジェクト『青ノ鳥』(劇作・演出・振付:矢内原美邦,映像:松本力・高橋啓祐,音楽:桜井圭介・スカンク,吉祥寺シアター)

を観に行った.素晴らしかった!いきなりだが,ピナ・バウシュ矢内原美邦はどこか似ていて,なんだか知らないけど泣けるのである.今回の『青ノ鳥』は,準備公演のときに輪をかけてミニマルの対極にある感じで,情報量の多さが気持ちがよい.驚くべきは(失礼かも知れないが),台本が大変よいことだ.その大変よい台本が,さまざまな仕方で異化されて,きわめて正しい形で発話される.しかし異化というのは結果というか効果としてそうなっているだけの話であって,フランケンズが意図的にそれをやったのとは決定的に違う.凄い早口で長いせりふを喋らせたり,マイクを使ってささやかせたり,それらは単純に単体で演劇的な喜びに接続することで,それが結果的に良い形での異化になっている.そしてからだがめちゃくちゃ動き回る.映像も素晴らしい.そして何よりも,役者のキャラクターが魅力的に見えてくることだ.こんなに正しい舞台があるだろうか.本当に素晴らしい.惜しむらくは動きもせりふも量が多すぎて,やや完成度を下げてしまっていることだ.何か上手い方法で完成度を上げることが出来ればよいと思う.