鵜飼哲他訳,1997,『国民とは何か』インスクリプト・河出書房新社

読了.主として所収のエルネスト・ルナン「国民とは何か」(1882),ヨハン・ゴットリープ・フィヒテドイツ国民に告ぐ」(1807-08)のため.ルナンと言えばサイードの『オリエンタリズム』で「サシとルナン」というような節があって,その中でオリエンタリストとしての対照的な二人,サシとルナンというような対比で語られていたことなどは,すっかり忘れていたのだった.『オリエンタリズム』と言えば,先月くらいに矢内原美邦がブログで「『オリエンタリズム』を読み返した」という旨のことを書いていたのを思い出す.いっぽうフィヒテはと言えば,こちらはルナンなどよりも日本での受容が活発で,この『国民とは何か』所収の鵜飼哲「解説−国民人間主義のリミット」のなかでは特に南原繁という人物の名前など出てくるが,その南原繁の対談本『対話−民族と教育』の巻頭には丸山真男との対談「戦後日本の精神革命」が収められているのである.そして丸山真男と言えば「丸山真男をひっぱたきたい」である.さて,という感じだ.さて.