大友良英ニュー・ジャズ・オーケストラ『ONJO Japan Tour 2006』(新宿 PIT INN)

に行った。先日のピットイン40周年企画で初めて聴いたONJOにその場で一目惚れし、これは行くっきゃない、という感じで、行った。ピットインは満員盛況で満員電車のようであった。そんな満員電車のような会場をカヒミ・カリィが通ったりしていても誰も何も言わなかったのだが、この観客層はあまりカヒミとかどうでもいい感じなのだろうか。ちなみに満員電車の何が辛いかというと、体重移動が自由にならないせいで腰から下に非常に負担がかかることだろう。しかしそんなことは忘れた!すげー。当然厚生年金会館より近くて一人一人が何をやっているかがよく分かってよかった。が、音響面ではピットインは劣ると思った。しかしそんなことは忘れた!水谷浩章のベースと芳垣安洋のドラムが、とにかく凄い。何だこのリズムセクションは。ベースのドライブ感とかドラムの手数の多さとか、とにかく何だ、ベースランニングとドラミングの、まさにその"-ing"とはこういうことなのだ、という感じだった。カヒミ・カリィはからだがちっちゃかった。でもさすが。オーラとかよく分からないものについて語るのはともかくも、単純にミュージシャンとしてレベルが高かった。カヒミ・カリィという人選は、アイドル的存在感のためではなく、単に彼女以外にはなかなか安心してあの役を任せられる人材が見当たらない、ということに尽きるのだろう。あと近くで見てよかったのはサックス三人の性格の違いが分かったこと。津上研太の凄さとアルフレート・ハルトの凄さと大蔵雅彦の凄さは全部違った。特に津上研太は単純に楽器のうまさを感じさせる中でぐちゃぐちゃなことをやっていて、感じ入った。前回は何をやっているのかさっぱり分からなかった宇波拓も、今回はよく見えた(けど結局謎)。ゲストの「新宿二丁目ストリングス」はどれだけ効果をあげていたのか不明だが、もしかしたらストリングスというニュアンスにだまされなければいけなかったのかもしれない。むしろ現代音楽のリスナーにとってはストリングスは目新しくも何ともなくて、逆に物足りなかったのではないか。オーボエがフィーチャーされたときに調性のある「普通の」メロディを吹いていて、それがめちゃくちゃ気持ち悪くてよかった(こう書くとアブノーマルチックだが、まぁそんなものだろう)。舞踏やってる舞台に真っ白なワンピースを着た高原の少女が紛れ込んだ、みたいな。違うか。色々とインスピレーションを貰った。ONJOを聴いた後に「普通の」曲を聴くと、構造とかがすっと分かるようになっていて、何か筋トレみたいだな、と思った。ONJOが更に巨大化したらちょっと分からないが、現状ではまだ音のマス(かたまり)として聴く段階ではない気はする。なぜなら、現段階ではまだおそらくプレイヤーたちはお互いのやっていることをある程度まで聴けているだろうから。マス的な音響であれば、ONJOは取り立てて新しくないということになるだろうし、実はそれはあまり面白くないだろうから、今のところは森の中で鳥の声を聞き分ける程度には分節して聴取して間違いないと思う。