庭劇団ペニノ『笑顔の砦』(作・演出:タニノクロウ,出演:久保井研,マメ山田ほか,下北沢駅前劇場)

を観に行った.小劇場演劇(恥ずかしい言葉だ)を襲うウェルメイダイゼーション(明大は関係なくて,well-madization)の波がペニノにも!すさまじくよくできた,いい話の演劇であった.でもこれだったらビリー・ワイルダーの映画とか観てもいいような気もするので,やはり演劇に求めるものはそういうウェルメイドなものだけではなく,もしウェルメイドなものしか舞台に乗らないのであればちょっと困る.ポツドールはその辺をもう一歩したたかにやっていて,たとえば『愛の渦』のラストなんかはウェルメイドを突き抜けてちゃんと落とし前をつけているし,あとは『夢の城』のラストなんてもう最高なのである.今回のペニノは,観客にとってはウェルメイドのパロディとしては現れてこない.単なるウェルメイドである.もしパロディであるならそれはそれで困った話だが.