Levinson, S.C., 1983, Pragmatics. Cambridge: University Press.(=1990,安井稔・奥田夏子訳『英語語用論』研究社.)

読了。This is hardcore!って感じでハードコアな言語学の研究書を500ページほど年の瀬に。言語学をやることの面白さはおそらく「ことばって本当にうまく出来てるよな・・・」というところに根っこがある気がする。色々考えれば考えるほど面白い規則性がたくさん見つかるのでついつい楽しくなってしまうのではないか。まぁそれはともかく言語というものの精妙かつ巧緻な感じというのはわりと危険な魅力である。日常的に使用される自然言語の会話の中にもいくつもの神がかり的なメカニズムが見出されるが、まぁそこから逸脱した会話というのもまたその辺に普通に転がっている。最近非常に腹立たしいのは、素朴さの演出としてわざわざ逸脱した会話をしてくれる人々のことだ。会話を組織するメカニズムの重要な要素は規範である。礼儀と言い換えてもよい。礼を失することなど気にもかけずにむしろ奔放に会話を組織することによって天真爛漫さをアピールするのは、本当に腹立たしい。もしかしたら実は何のパフォーマンスでもなくてただ単に頭悪くて失礼なだけなのかも知れないが、どちらにしろ、ちゃんとしろよ。