新国立劇場バレエ公演『くるみ割り人形』(振付:マウリス・プティパ/レフ・イワーノフ、作曲:ピョートル・チャイコフスキー、演出:ガブリエラ・コームレワ、新国立劇場オペラ劇場)

を観に行った。お客さんはかなり入っていて(総じてマナーは悪い、ただし右隣に坐っていた男性はちゃんとオケが鳴り止むまで拍手しなかったり、頗る感じが良かった)、年末くるみ割り人形の威力を思い知る。さて、道具もファンシーなら演出もファンシーで、まあちょっとディズニーの「小さな世界」みたいな感じだった。そんなところで音楽はチャイコだしクラシックバレエのあの動きだし、観ていてなんだかもう幸せな感じである。オペラ劇場という額縁も含めて変なファンタジーの空間が出来上がっていて、すこぶる非日常であった。マーシャのディアナ・ヴィシニョーワと王子のアンドリアン・ファジェーエフはマリインスキー劇場(今回の舞台美術・衣裳製作はここ、つまりマリインスキー劇場のプロダクションを持ってきた感じなのだろう)のプリンシパルらしいが、二人とも素晴らしかった。しかし綺麗な動きという以外に、ただ単にダイナミックさや技巧でも感心してしまう(オペラでいったらフェルマータで感心してしまうようなものだ。最悪。)ので、観客としてはまだまだ訓練が足りない。それにしてもバレエがこんなに単純な快楽だったとは。視覚的にも聴覚的にも。多幸感。泣きたくなるような。