五反田団『生きてるものはいないのか』(作・演出:前田司郎,こまばアゴラ劇場)

を観た.もうひと月以上前のことなのでよくは覚えていないのだが,ひと月以上経ったからこそ分かる事というのもある.表題通り,生と死が主題として扱われる.たとえば,目を開けたことのなかった人が,目を開けてみたら真っ暗だったということがあったとして,それは大変恐ろしいことだろうなぁ.しかし,実際は,真っ暗だったとすると,自分が目を開けているのか閉じているのかはよく分からないだろう.それもまた恐ろしい.何故恐ろしいかといえば,それに先立って,目の開閉の区別や,明るいところと暗いところの区別を知っているからである.その区別が保持されるからこそ,ある状態が恐怖されるのである.それは擬似恐怖かというと,しかし,擬似感情というようなものはありそうでなさそうで,ちょっと難しい.目の見えている人はいないのか.