『Otomo Yoshihide's New Jazz Quartet』(新宿PIT INN)

に行った。発売日にチケットを買うほど楽しみにしていたが、かなり硬派で渋いライブだったと言ってよいだろう。ゲストはオプトロンの伊東篤宏。噂には聞いていたが(どこで聞いたか忘れたが)実物は初見。すげー。あれはスター・ウォーズライトセーバーみたいなずるさではないか。光るししかも武器です、というような。あんなにぴかぴか光ってしかもかっこいいノイズが出るので、ずるい。と、確かに派手だったのはオプトロンくらいで、あとの四人は非常に渋かったのではないか。それはおそらくサックスが津上研太ひとりだったことだけではなく、大友良英自身の方向性がemoな方向から離脱しつつあるということなのだろう。だからこそ、音響ジャズとemoという二本柱で音楽のバランスを取るのではなくて、よりストイックに、渋い音選びをしていた。これは音響から音韻への回帰であるわけではなく、一度音響をくぐった後の音韻として、むしろ音響と音韻の不可分性が前面に出るような音楽、これこそがまさに音楽そのものであるというような音楽の方へ、という方向性だろう。最近は音楽を聞くと、味覚に関するヴォキャブラリーが連想される。舌触りとしての音響はまさにマチエールでありどちらかといえば質的で、一方の音韻は香りを含む味覚でありどちらかといえば有限のパラメーターで表現される量的な感覚だ。水谷浩章の音も芳垣安洋の音も、全員の音がどれも頗る美味であり、今後の活動にも刮目、である。しかしなんか後半は美意識のない音楽批評みたいになってしまったがまあいいや。