今敏監督,1997,『PERFECT BLUE』(原作:竹内義和,出演:岩男潤子 / 松本梨香 / 辻親八ほか,アニメーション制作:マッドハウス,日本,カラー)

を観た。DVDで。今敏マッドハウスという『東京ゴッドファーザーズ』コンビなのでちょっと期待していたのだが、特にみるべき所はないように思われた。ちなみに年が明けると『パプリカ』で、I have a bad feeling about this.って感じだ(と思ったらもう公開されているらしい)。それはともかく、やはり気になるのは佯狂の問題である。あるいは自覚と無自覚の問題なので、やはり北田暁大が問題化したことに戻るわけだが、いったい誰が何を考えているのか、ということが、大変に問題だ。そして何を考えていないのかだ。まぁこの「考える」というのはあまりに無規定な言葉のように聞こえるけれども、一応そんなことはない。「考える」というのは常に何かを考えることでしかないわけで、対象への志向が必要だ。ところが日常の起居振舞や言語活動やその他もろもろのことがらというのは、無限の自明視の上に成立しているのであり、自明視とは無志向性のことである。ここで現れるのが「自明」と「懐疑」という二類型であり、「考える」というのは、この自明と懐疑に関わることなのである。とまぁそういったこととかのもろもろを飛び越えて嗤ナショを鵜呑みにしてしまうと困るのではないか。特に意志ということに関して、困るのではないか。