東野圭吾,2003,『予知夢』文春文庫

読了。面白かったので一日で読んでしまったが、ちょっと後悔。それはともかく、何でも探偵ガリレオシリーズとか言って、若き天才物理学者が活躍するミステリー、だそうだ。アイデアとか確かに面白いんだけれども物理学者である必要はない気がした。あと章題の「夢想る」「霊視る」などに「ゆめみる」「みえる」などと読みが書き添えてあるのもなんだかいただけない感じだ。しかしそれ以外は面白い娯楽小説である。読者に「イヤな感じ」を与えないための工夫が随所に感じられる。たとえば宮部みゆきの『模倣犯』なんかは最初から最後まで「イヤな感じ」がつきまとって多少疲れた(疲れるから悪い作品だというわけではもちろんない)。それは犯人や被害者について、何か生々しくて、それでいて肯定しがたいものをみてしまうときに感じる感じだろう。