喜劇映画研究会結成30周年記念イベント『銀幕ランドスケープ』(シネマアートン下北沢)

に行った。映画黎明期のサイレントにおおたか静流鬼怒無月が即興(半即興?)で音をつけるというイベント。セットリストは以下の通り(HPより転載)。
●「オープニング映像」(2006年 喜劇映画研究会コンピレーション版)
●「魔術師」(Le magician 1898年 フランス)
●「月世界旅行」(Le voyage dans la lune 1902年 フランス)
●「音楽狂」(Le melomane 1903年 フランス)
 以上、監督・主演:ジョルジュ・メリエス
●「犬とパイプ」(Le chien et la pipe 1902年 フランス)
●「磁石警察」(Police magnetique 1902年 フランス)
 以上、製作:シャルル・パテ、監督:ジョルジュ・アト
●「スポーツマンたち」Les deportistes 1905年(フランス)
●「カリーノの洗礼」Le bapteme de Calino 1908年(フランス)
 以上、製作:シャルル・パテ、監督:ジャン・デュラン
●「リトル・モーリッツと新妻ロザリー」Little Moritz enleve Rosalie 1908年(フランス)
 監督:ロメオ・ボゼッティ、出演:モーリッツ・シュワルツ、サラ・デュアメル
●「奇怪な泥棒」原題不明1909年(フランス)
 製作:シャルル・パテ、原作:H・G・ウェルズ、監督:フェルディナン・ゼッカ
●「リトル・ティッチとデカ靴」Little Tich & his big boots 1904年(イギリス)
 監督・主演:ハロルド・レルフ
●「ソレって自動車?運転手?」The (?) motorist 1906年(イギリス) 
 製作:ロバート・ウィリアム・ポール、監督:ウォルター・R・ブース
●「ボクサー・ロビネ」Robinet boxeur 1913年(イタリア/フランス)
 監督・主演:マルチェロ・ファブレ(マルセル・ファーブル)
●「ポリドールvs.日本人」Polidor e il giapponese 1918年(イタリア) 
 監督・主演:フェルディナン・ギョーム(フェルディナンド・ギラウメ)
●「つらあて」A busy day  1914年(アメリカ)
 製作:マック・セネット、監督・主演:チャーリー・チャップリン
始まる前からおおたか静流は「今日の映画はつまらないです」と予告するし、鬼怒無月にいたってはメリエスを「こんなくだらない映画は初めて観た」と喝破していた(喝破、でいいのか。用語の選択は)。鬼怒無月はとにかく全編にわたって「いみわっかんねー」と繰り返す。自分はそれを聞いて、「それは映画原論的にはそもそも意味、物語りというものが云々」、というような話を懐かしく思い出したりしていた。おおたか静流のとぼけて凄い歌唱(千変万化でかつ安定感がある、という凄さ。御顔がちょっとUAに似てないかと思ったがあまり似ていない)にぴったり寄り添いつつ寄り添わないつつと言う鬼怒無月の自由自在ギター。とにかく自分には映画はもちろんくだらなくも意味分からなくもなかったし(だから観に行ったのだが別に分かれば偉いわけではないというか逆に「いみわかんねー」といきなり言える人には絶対に勝てないな自分は)、演奏も素晴らしかった。加えてプラスチックのコップでワインを飲みながら微酔気分で観られたのは大変ハッピーな体験であった。しかしイベント全体としては佳作という印象。イベントとしての設計、デザインが甘かったように思った。