新国立劇場『こうもり』(作曲:ヨハン・シュトラウスII世、演出:ハインツ・ツェドニク、新国立劇場オペラ劇場)

の総舞台稽古、ゲネプロに行った。道具がアール・ヌーヴォーと言えば聞こえがいいかもしれない割りと薄い感じで、新国はやはり財政難なのかと思ったりした(ただし再演なのかも知れないのでまったく定かでない)。歌手はなかなかよい人たちが揃っていたが、ロザリンデのナンシー・グスタフソンはあまり声を出していなかった(ゲネプロだからだろう)。オルロフスキー公爵のエレナ・ツィトコーワがかわいかった!ディテイルでは「日本人テノール」を揶揄するような部分とかに拍手喝采したかったがしなかった。全体的にちゃんと面白おかしい感じで、笑わそうとして空ぶってるところがほとんどなかったのが素晴らしかったといえば素晴らしかったが、では個々の笑いのレベルはどうかと言うと別にそこまで面白いわけでもない。ずっとくすくす笑える感じだ。しかし全体的に漠然と感じるこの薄さはなんだろう。軽やかで瀟洒な微笑の持つ強いエレガンス(たとえばシャンパンが持っているような)もなく、何もかもが薄い。いろいろ軽やかに仕上げようとしているのにエレガンスを志向しなかったのが問題だったのか。結果カタルシスも弱い(ないわけではなかったが)。総合得点としてはまあまあと言った感じの公演であった。