大駱駝艦天賦典式『魂戯れ』(振鋳・演出・美術:麿赤兒、前進座)

を観に行った。歌舞伎小屋での公演ということで、花道があったりして開演前から期待。いきなり麿さんが踊りまくる。うおー。これは観に来た甲斐があったってもんだ。その後スーツマンがセリから出てきた辺りからいろいろ面白いことになってきて、特に屏風と絵馬なんかは素晴らしい。ちなみにスーツマンの着メロは映画『大脱走』のテーマだったので、「脱走」とか「脱出」とか、そういう単語が頭をよぎるようになる(そしてさらには「日常世界からの離脱」なんて言葉まで浮かんでくる始末だが、そんなところに落ち込んではいけない、と必死に振り切る)。廻り舞台も大変効果的に使われている。セーラー服については会田誠を思い出し、ちょっとげんなりする。しかし終盤に全員が登場し一つの風景を構築する段になると、凄まじい。作品全体は基本的にシンメトリカルに作られていて、それを微妙にずらすようなかたちで実際はアシンメトリーになっているものの、構造自体がアシンメトリーに作られているわけではないので、非常に安定感がある。大駱駝艦の公演はなかなかこれといった傾向を指摘することができない気もするが、今回の公演は非常に大駱駝艦らしいという気もした。気もした。