トニ・モリスン 2001『青い眼がほしい』(大社淑子訳)早川epi文庫

読了。どうでもいいけどひたすら暗い。こんな感想は愚の骨頂と唾棄する価値もない本当にあいたーな感じだというのは百も承知で書くけれど、暗いよ。手法としては複数の語りが交代で現れ、それが第三者視点だったり登場人物の視点だったりして、視点の複数性によって読者はそれを再構成するという形で物語に加担せざるを得なくなる、という意図があると著者あとがきに書いてあったが、本人が言うとおり、あまり成功してるとはいえないだろう。そういったことで読者は物語を我と我が身に引き受けるものではない。人種内の人種問題、というテーマについては、まさによく書けている。話は暗いけれど読んで暗くならず、ただひたすら文学的に価値のある作品だと思わせる、その辺りはなかなか凄い。