青年団『砂と兵隊』(作・演出:平田オリザ、こまばアゴラ劇場)

を観に行った。会場に入るとセットが砂。縄で吊り下げられた巨大なシートの上に砂が盛られている。沢山。従来の砂漠の演劇では、演技で砂に足を取られるように見せるか、せいぜい砂を敷いておくくらいだったが、今回は砂丘の斜面を思わせる傾斜がつくほど大量の砂が持ち込まれているのが凄い。何て埃っぽい舞台なんだ!ということで劇団側がのど飴を配っていたので貰う。さて、お芝居の方はあいも変わらず青年団で、結構どうしようもないところも沢山ある。時代のエートスとしてのどうしようもなさとしては、やはりチェルフィッチュの『三月の五日間』や『目的地』的なアプローチの方が正解だと思われる。青年団の「どうしようもない」感覚は十年ほど遅れてしまっているのではないか。「あなたたちはどこに行くの?行くところなんかないんでしょう」とか叫ばれても困ってしまう。しかし幕切れ、ちょっとだけずらした繰り返しで「終わりなき日常を生きろ」って感じだったのはなぜか説得力を感じたので、まぁよいか。一番面白かったのは観客の年齢層が高かったことで、その人たちの「やっぱり今の時代ってこうなのね、戦争のことも何も分かってないし、本当にどうしようもないわね」って感じの反応が(本当はもう少し違うんだけどうまく書けない)、先日の『サド侯爵夫人』と並んで、なんだか考えさせられる。うーん。