佐藤郁哉 2002『フィールドワークの技法〜問いを育てる、仮説をきたえる』新曜社

読了。著者が「この本を読むと、当たり前のことばかり書いてあるように感じるかもしれません」と言っていたが、確かにそう感じた。しかし当たり前のことを踏まえないままにフィールドワークをするというのは逆に言えば大変恐ろしいことでもあるわけであるから、フィールドワーカーはざっと一読しておくと安心かもしれない。この手のことでよく言われるのは、「本や文章は、実際の圧倒的な経験の前では役に立たない」ということではないだろうか。しかしこのような旨のことを聞いていつも思うのは、経験しなければ分からないからこそ、事前に摂取できる情報が貴重なものとして尊重されるべきなのではないかということである。知識に寄りかかってはいけない、という当たり前の認識で自己満足するな。経験に寄りかかるな。