『12月文楽公演』(国立劇場小劇場)

に行った.素晴らしかった!子どもを表象することというのはすべからく難しいことだろうと思うのだけれど,並外れたバランス感覚で何とかなっている.たぶん何とかなっているはずだ.しかし親子の話というのは本当に暴力的な効果を持っていて,ひどいものである.しかもこの演目では母の切り落とされた腕を,幼い息子が抱いたりする.もう涙なみだである.

涙押さへて太郎吉は、ずつと立つて
 「ヤイ侍。よう母様を殺したな」
とぐつと睨めたる恨みの眼
自然と実盛肝に堪へ
 「ホヽ健気なり逞しや。母が形見はソリヤそこに」
と云ふに
駆け寄り肘を抱き
 「母様呼んでこの手をば、骸へ接いで下され」
とそなたへ持ち往き、こなたへ頼み、身を投げ伏して泣き沈む