『Here to Here』(振付・美術・照明・衣裳:勅使川原三郎,出演:勅使川原三郎・宮田佳・佐東利穂子,彩の国さいたま芸術劇場大ホール)

に行った.なかなかよかった!今回も勅使川原がほとんどソロで踊り,それがすごくやはりよい.ともすれば,自ら手がけた照明と美術の「キレイ」な感じに淫して,踊りが埋没してしまうのではないか,と要らぬ心配を抱きそうにもなるが,杞憂であった.勅使川原は強度とキレと安定感を兼ね備えながら,しかも日本的な文脈も持っていて,それがまたたまらない.あまり踊らないところというか,踊りから自由になるための文脈は色々とあって,それはアダルトビデオから離れたセックスの仕方が色々あるのと似ている.ロールモデルから距離を取ることは,そのロールモデル自体がどんなものであるのかに強く規定されるから,アメリカのと日本のと,アダルトビデオをまずは比較したらいいと思う.管見では,欧米(の文化一般)へのコンプレックスの強さは,欧米のセックスへのコンプレックスの強さと正の相関関係にあり,男性においては後者が前者を,女性においては前者が後者を,それぞれドライブする傾向にある気がする(ははは,本当か).時たま見かけるクリシェ,「スポーツのようなセックス」というレトリックが,興味深い.