橋口亮輔監督,2008,『ぐるりのこと。』(原作・脚本・編集:橋口亮輔,出演:木村多江/リリー・フランキーほか,日本,カラー)

を観に行った.シネスイッチ銀座.こういう映画には,すぐ感情移入してしまうので,良い映画だったのかそうでもなかったのか,よく分からない.どうしたって自分のことなどにも引きつけて考えてしまうし,自己憐憫や罪悪感にとらわれて,映画どころではない.長回しとかのせいで思う存分移入できてしまうのである.しかし,リリー・フランキーの仕事やあるいは父親のエピソードなどによって,社会性と切り結ぼうとしているところなどはよかった.というか,社会と無関係であるふりをしようとしない所がよかった.集合的現実を見ようとしないで,すぐに個人の話に還元しようとするのは,忌むべき傾向だ.そうか,やはり,良い映画だったか.そういうのが自分は遅いところがあるのでよく分からなかったが,良い映画でした.あと帰りにメゾンエルメスでN.S.ハーシャ「レフトオーバーズ」を見たけどよく分からなくて,しかしサラ・ジー展のブックレットをもらえてよかった.