ポール・トーマス・アンダーソン監督,2007,『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(原作:アプトン・シンクレア,出演:ダニエル・デイ=ルイスほか,音楽:ジョニー・グリーンウッド,アメリカ,カラー)

を観に行った.渋谷アミューズCQN.面白かった気がする!しかし,自分が抱いた感覚について,いまだによく分からない.振り返ってみれば色々とうまい映画であることは確かで,凄く上手に色々な落とし穴を回避しているのだが,それがどうやって面白さにつながるのかというとよく分からない.明らかにブラームスのヴァイオリン協奏曲がカタルシスなのであって,それは『インランド・エンパイア』にも似ている気がする.ひとつひとつの絵がそれ単体で映画から遊離して存在感を持つのではなく,とは言えなかなかいい絵で,そしてとても映画のような映画であったから,その辺りもまたよかったのかも知れない.人物は単線的な読みを許さず,説明もあまりなされないが,唐突とも思われず,納得する.ありきたりな「モンスター」映画とは違うので,まぁ,普通の人がモンスターである程度には理解できないし理解できるというそのさじ加減はなかなかではないかと思う一方で,しかし,実はそんなことはあまり考えられて作られてはいないかも知れないとも思う.また観客がなかなか映画に没入したり感動したりするようには出来ていないのだが,でも,最後はカタルシス