Shakespeare, W., 1602, Othello.(=菅泰男訳,1960,『オセロウ』岩波書店)

読了.最も気になったのは,デズデモウナが人のために何かをしようとする,その心の傾きの醜さであり,オセロウがイアーゴウをあくまで信頼しようとする,その心の傾きの醜さであった(もっとも,イアーゴウを信頼しているのは何もオセロウだけではないことはあとがきにある通り).前者については『罪と罰』においてスヴィドゥリガイリョフがラスコーリニコフの姉に対して暴き立てるところと全く同一であり,後者については,もううろ覚えだけど,『八月の光』で似たようなことを思った記憶があるが,しかしフォークナーにおいてそれは醜さというよりは強靱さや聖性や強烈な光のように表れていたのではなかったか.なかったかってこともないが.