『溺れる男』(演出:ダニエル・ベロネッセ,原作:アントン・チェーホフ『三人姉妹』,にしすがも創造舎)

を観に行った.『三人姉妹』に対して,登場人物の性別を入れ替える以外に取り立てて大きな改変を施さず(省略は多かったが)立ち向かったことは評価されてもいいかも知れないが,しかし,それが戯曲の持っている演劇の力にまでたどり着けていたかというと,そうではなかったように思う.簡単に言えば,別に面白くなかったのだった.特にラストに近づくにつれて,感傷的な演出になっていき,しかし,あれでは登場人物が泣くばかりで客は泣けない.少なくとも自分にはまったく胸に迫るものがなかった.