フレッド・ニブロ監督,1922,『血と砂』(出演:ルドルフ・バレンチノ/ライラ・リーほか,アメリカ,モノクロ)

を観た.ビデオで.闘牛士の映画.成功した闘牛士が美女の誘惑に負けてそれが奥さんにばれて,というストーリーなのだけれど,狂言回しとして「人間の心理を研究する学者」というのが出てきて,これが何とも,1920年代の映画ということを考えると,面白い.20年代,闘牛,ということで真っ先に思い出すのはもちろん『日はまた昇る』であり,あれは1926年に発表されたとあるから,また,何とも.ちなみに岡本喜八にも同名の映画があるようである.さらにちなみに,主演のルドルフ・バレンチノというのはサイレント時代のスターであったということで,かのケン・ラッセル(『トミー』の監督)によって映画『ヴァレンチノ』が作られている.ところで『日はまた昇る』を探そうとしたら本棚に見つからず,もしかして誰かに貸したままかしら(記憶にないけど)と思ったのだが,こんなにナチュラルに「貸したかも」と思うということは,痴呆に付随して頻発する「物取られ妄想」なんて,まったく当然起こってしかるべき妄想だ.と強く実感したというかほとんど共感した.