『2月定例公演』(国立能楽堂)

に行った.狂言『痩松』(山本東次郎)と能『小塩』(友枝昭世).『小塩』は,満開の桜の木の下で在原業平の霊が舞うという話なので,先日の文楽に引き続き上げ上げな気分になれるわーと思って観に行ったら,実際は全くそんなことはなくて,むしろ非常に重くてきつかった.ように思ったが,どうか.詞章全体のトーンとしては,決して重くも暗くもない話であるはずなのに,なんだか謡いも舞いも,力の入れ方というかニュアンスの付け方というかアクセントの置き方というかが,どうにも重く,桜がどんどん疎ましい存在として呪われていく.ような気がした.ただの考え過ぎや勝手な感情移入かも知れないが,とにかく終演後はどっと疲れた.祝祭の感覚がある一方で,手についた血が洗っても洗っても落ちないという感覚もまた一方にあり,舞台というやつもなかなかどうして大変なものだ.