『東京国立博物館本館平常展』

に行った.長谷川等伯の松林図屏風を目当てに.東博の平常展は,しかし凄いな.キャンパスなんたらという制度があって,特定の学校の学生はいろんな美術館で学生料金からさらに割引があったりするけれど,東博の平常展はなんとタダだ.これはもう通うしかないのではないか.そして,新春の国宝室に期間限定で展示された松林図屏風は,凄い.何と言っても,その魅力が極めて分かりやすい種類のものであるということが,またその魅力のほどを示している.鑑賞するというよりは,何というか,遊ぶ,という感じであって,美しいということよりも楽しい感じが先に立つ.屏風という媒体の性質もあるだろうが,あいだに距離を介して見ているのではなく,中に入ってそこを歩いているように感じる.触覚的で身体的な視覚が,作品の性質として織り込まれている.だから,観衆のことごとくがケータイで写真を撮っていても,特に「国宝が辱められた!」なんてことは思わず(いや,そりゃあ,思わないけど),むしろそれは風光明媚な自然の景観が写真におさめられるのを横で見ているような気持ちに近いのである.