『野鴨』(作:ヘンドリック・イプセン,演出・上演台本:タニノクロウ,出演:石田えり・高汐巴・手塚とおる・保村大和・石橋正次・藤井びん・マメ山田・鎌田沙由美・津嘉山正種,シアター1010)

を観に行った.親子の話というのが,ずいぶん以前から弱いのだが,イプセンは泣かせようとなんてしてこないのでそんなことは関係なかった.『暴れん坊ママ』を,最終回だけ観たが,こちらは関係あった.ところで我が恩師は若くして学生結婚などしたが,彼は,早くに結婚を,「しなければならなかった」のではないか.そう思わせる節があり,我が身を振り返りもするが,むしろ思うのは『野鴨』のことである.やや説明臭すぎる気がしなくもないが,そのリスクを背負うに足る効果を上げていて,素晴らしい.しかし,その説明が,どこか心に留まらず,さらさらと流れていってしまう気もして,なかなか難しい.