アリストパネース『女の平和』(高津春繁訳)岩波書店

読了.すごく面白かった.男たちは戦争ばかりしているので,そしてそのあいだ女たちはほっぽらかしにされて淋しいので,女たちは男たちにお預けを喰わせて,それで戦争をやめさせようとする,という話なのだが,ディテイルがあほらしくて素晴らしい.お預けを喰った男たちは,したくてしたくて仕方がなくて女たちのところにやってくるが,立派な張りぼてを付けて前屈みなのである(ちなみに女たちもしたくてしたくて仕方がない).あほらしい!現代の日本の男の子たちを「去勢されている」と糾弾して憚らないワタクシでありますが,しかしこれでは古代ギリシャも変わらないのではないか.このような作品が作られること自体が,性に関するメランコリックな感じを推測させる.男の子たちが去勢されているなら女の子たちは文化的な避妊手術を受けているのではないか,という表現をいま思いついて,勝手に鬱々とした.