『ALTERNATIVE ELEKI-TOWN』(秋葉原CLUB GOODMAN)

に行った.今年30周年を迎える突然段ボールの企画.3バンド目から見たが,名前分からず.なんだか良い感じのナルシシズムだった.最近はダンスや演劇を観て,「何をしたいのか」をはっきりさせないまま,観客とのコミュニケーションを丸投げにしてしまっている作り手に対して憤りっぱなしの日々であったが,しかし音楽というのは,その点ずいぶんと自由である気はする.そうは言っても個々のフレーズに快楽がなければ仕方がないという点はより厳しいかも知れない.4バンド目はworst taste.ずいぶんよかった!我が持論たる「下手なバンドほど音がでかい」という命題によれば,worst tasteは音が以前よりも小さくなりごり押しでなくなったので,上手くなったということになる.知らない人に対して安心して勧められるクオリティになった(そして勧めた相手が「分からない」とか言ったら,「分かってないなぁ」と返せる感じだ).3バンド目の人たちは身振りからしてナルシスティックで,それはそれでよかったのだが,worst tasteの身振りは韜晦に近い.そしてその韜晦の身振りと楽器の技術とが今ちょうどよくかみ合っていると感じた.ただベースの人は韜晦は良いんだけど客席をちらちら見すぎな気もした.新曲(たぶん)は,本当によくファミコンサウンドを咀嚼吸収していて,素晴らしい.消化力のある若者はどんどん勉強してどんどん吸収したらよい.そしてそれを照れながらどんどん出したら良いのである.そういえば消化吸収で思い出したけど,摂食障害というのは女の子のものである印象が強いが,文化的過食症とでも言うべき,「何でも見聞きして経験しておこうと思います」という態度は男女の別なく蔓延しているように思われる.文化的過食症の方々はたいていは消化能力が極めて低くて,そんなに無理して摂取しなくても良いのになぁと思ってしまう.適度な量を摂取するときに最もよく消化吸収できるのだと思うけどな.彼ら彼女らを文化的過食に駆り立てるものはいったい何だろうか.ちっとも吸収できていないので見苦しくて痛々しいので何とかしたい.そうだ,worst tasteは,ただし,全体のサウンドが整ってきたせいで,逆に楽器の至らなさも見えてくるので,みんな練習したらいいと思った(特に縦がもっと合うと素晴らしい).新しいドラムの人は前任者ほど華やかでないが,その分バンドのサウンドの安定に貢献していると感じた(コーラスも).あとはサウンドが整ってきたせいで,楽曲の無茶さが際だつようになってしまっていた.曲中の転換部は,突然転換するのだが,その「突然」が機能している場合と,逆機能になって唐突さとしてネガティブな効果を発揮している場合とがあった.クラシック音楽でも何でもいいから参考にして,無理のない転換にするためにブリッジみたいな部分を適宜入れるべきであるように思った(そうするとたぶんプログレっぽくなっちゃうけど).反対に,曲の流れからして,曲に没入し始める転換部というのがあって,その転換部からどんどん盛り上げていけばいいのに,まったくあっさりとAメロに戻ってしまったりして,これはもったいない.好きなあの子がこっちを向き始めたら全力でアピールすべきだと思うのだけど.トリの突然段ボールは,何とも正しいロックだった!よかった.すごく.しかし,管見の限りで観客の中でもっともオシャレでかわいかった女の子は,冷ややかな目つきで利発そうな顔立ちであったのにworst tasteでは踊っていて(腹立たしい),さらになぜか突然段ボールでは踊っていなくて,きっとそれはあのコーラス隊のせいではないかと思ったのだった.突然段ボールのステージでは上手前方で三人の若い女の子がコーラス隊というかダンス隊というかで,くねくね動いたり絶妙な不協和音を響かせたりしているのである.だからフロアを見るとやはり男の子たちは嬉しそうなのである.これは,極めて正しいロックだと思ったのだが,しかし自分が女の子だったら,きっついなぁ.というか,まぁ,普通に,たとえば電車の吊り広告とかで,きっついだろうとは思うが.という,何だ,こんなことは昔から考えていたが,久しぶりにその思いを新たにした.