『SKIN+BONES 1980年代以降の建築とファッション』展(国立新美術館)

に行った.会期最終日はとても混んでいて,展覧会は客の多少によって入場料を変えるようなシステムだったらよいのにな.しかし,こんなにおいしい企画なのに,さして面白く感じなかったのはどうしてだろうか.それは人の多さばかりではないように思う.ひとつはキュレーションがコンセプチュアルに過ぎて,展示としての新奇さが失われたことがあるだろう.既視感ばかりがあった.建築の展覧会が難しいことは言うまでもなく,また服飾の展覧会も難しいのだな.ひたすら興奮する服が並んでいて,という風にはなかなか行かないものである.それにしても会場は服飾系の学生だろうか,若い女の子たちの雰囲気が,とても良い感じだった.そして男の子たちは建築系の学生だろうか,変な格好をしていて,がんばっていた.最近は「モデル」という職業について考えをめぐらせること少なからず,なのだが,さるITベンチャーの若き社長(男性である)は,ねるとんみたいなパーティに行って,「そこにいた女の子はモデルとかそういう感じの子ばっかりだったんだけど,僕が気になった子は,モデルでも何でもなくて,僕の話を凄くちゃんと聞いてくれる子だった」などと,後日のたまったそうである.つまるところモデルとはまずそのような職業として表れるのである.このことについて考えるときの徒労感たるやすさまじいものがあります.「モデル」によって,どれだけ多くの男女が去勢されるのだろうか.そして,ファッションとはそのような「モデル」と,手に手を取り合っている.それは畜産業とフランス料理のようである.