『20世紀美術探検』展(国立新美術館)

に行った.とにかくすいていて,それだけでもう素晴らしいことには違いないが,展覧会自体もちゃんとよかった.展覧会タイトルに「探検」とかつけたくなるのも分かる.まず作品の量が本当に多いのだが,「20世紀美術」全体をカバーしようという強い意志の表れ,あるいはアーカイブ化への強烈な欲望(これは安価で大ヴォリュームのカタログにも反映されている)としか思えないようなラインナップからすればこれも当然かも知れない.そして,「20世紀美術」ツアーみたいなことをやろうとすると,それはもう必然的に「探検」のようになってしまうのである.一応押さえておきましょうという程度にしか触れられていないフルクサスやダダがある一方で,デザインにもちゃんと目配せしておきましょう,民藝運動にも一部屋割きましょう,モノ派わっしょいっていう感じだったりとか,デュシャンひゃっほうって感じだったりとかいうバランス感覚も,外野から見ると少し笑える.そして最後はちゃんとコンテンポラリーアートのコーナーがあって,そこの田中功起の作品には本当に感心したというか共感したというか,共感させてくれたことに感心した.全然キャプションとか読んでないので実は誤読かも知れないけれど,しかしまぁ「そうそう!そういうことなんだよ.」と思ったのだった.現代美術オタクの友達がほしい.現代美術は,全体としては面白くないわけがない.現代音楽と同じで,まじめに読めばちゃんと読めるし,頭でっかちなせいでわりとおかしなことになってしまっていたりとかするあたりも含めて,ひとつの大変興味深いフィールドである.コンテンポラリーアートコンテンポラリーダンスとコンテンポラリーミュージックが,それぞれ時代とどうディールしているのかということを考えると,またこれはなかなか面白いことになっているので(各分野で時代がずれていたりとかして,それはもう美術の世界ではずっと前に終わってるよ,と思ったりする),現代を生きることの悪くなさはおそらくこの辺にある.