『セシル・テイラー&山下洋輔デュオ・コンサート』(東京オペラシティコンサートホール)

に行った.第一部がそれぞれのソロで,第二部がデュオ.いやー,もう,最高であった.と,その日から五日ほど経って思い出そうとしてみてもほとんど何も思い出せない.いやー,困ったもんだ.まあ覚えていることもある.二人の奏者がそれぞれに持っている語法というか独特の音列,は,わりとどうでもよい,というか,それはわりとファンサービスみたいなところがあるのではないかと邪推さえする.むしろ生の演奏として素晴らしいのは,グルーヴである.セシル・テイラーの怪物じみた体力(音楽界にはたまにこういう人がいるものだが)と,いやに強靱な左手などは単純に凄いが,しかし音楽の喜びはリズム感にある.フリージャズのリズム感と言われてぴんとこなければコルトレーンを聴けと思うが,ピアノデュオのグルーヴはまた一種独特のものがあって,これはもう本当にこのコンサートの醍醐味であった.東大山下洋輔菊地成孔デュオコンサートを思い出した.