町村敬志・西澤晃彦,2000,『都市の社会学』有斐閣

読了。有斐閣アルマなので、教科書である。都市社会学ではなくて都市の社会学である。ともすれば硬直しがちな都市社会学という連字符社会学としてではなく、より柔軟に総合的に都市を捉える社会学、ということらしい。その意気やよし。かなりよく出来た教科書であると思った。それにしても都市関連の文献はとてもフォローしきれない量なので何とかしないといけない。ちなみに都市社会学でも都市の社会学でもいいが、どちらにしろ、ありきたりな問題設定で都市を対象に出来ると思っていると容易にカテゴリーミステイクを犯す。都市とは何か、という問いを立てるためには、「〜とは何か」と問うことが可能な対象としての概念に「都市」概念を整形しなければならないからだ。それをしないかぎりは、「生きる意味とは」とえんえん考える中学生とさして変わらないし、「私の本当にやりたい事ってなんだろう」とえんえん考える大学生と変わらない。「生きる」という概念と「意味」という概念が本当に接続可能なのか、可能であるとすればそれはどのようにか(この場合は「意味」概念がちょっと手に負えないほど巨大だ)、「本当に」という副詞と「私がやりたい」という欲求の位相をどう重ねるのか。いくら考えても分からない問いは、大抵は問いの立て方が悪い、ということは、意外と忘れがちで、多少忘れていたので、ここに書いておく。あ、ちなみに、そうやってえんえん考える中学生も大学生も、そのままでまったく問題はない念のため。