イスマイル・マーチャント他監督 1982『ボンベイの踊る娼婦』(監督:イスマイル・マーチャント/ルース・プラワー・ジャブヴァーラ/ジェームズ・アイヴォリー、出演:サイード・ジャフリー/カリーム・サマー/ゾーラ・シーガル、インド=イギリス、カラー)

をVHSで観た。我が家所蔵の名も知らぬ映画を観てみようシリーズ第2弾(第1弾は『失はれた地平線』)。無軌道なことこの上ないが、これがなかなか面白い。この作品は劇場未公開ビデオ未発売(らしい。それも未確認。Googleで検索してもほとんどヒットしない)で、テレビ東京で深夜に放映されたものを録画したもののようだ。内容は、監督の出身地ボンベイの歓楽地区、女性ダンサーゲットーの暮らしをセミ・ドキュメンタリー・タッチで描いた、というもの。歓楽街、という街の体裁を取っておらず、むしろ見た目は限りなく団地に近い、その一部屋一部屋が歌と踊りのライブスペースになっている。この地区で女が生まれるとどのような一生を歩むのか、男はどうか、男と女の関係は、などなど、振り返ってみるとなかなかによくまとまっていた。NHKの特番としてであれば大いに面白く観れたろうと思う。しかし映画としては面白くない。映画としての面白さを挙げるなら、唯一、劇中で演奏される音楽、あるいは踊られる踊りが大変よいものであったというくらいなもので、それとても「映画」をひとつのメディアとして尊敬する立場からするとなかなか諸手を挙げてというわけにはいかないように思われる。それにしても、劇中に出てくるタブラは本当に素晴らしかった。