テリー・ギリアム監督 2005『ローズ・イン・タイドランド』(脚本:テリー・ギリアム / トニー・グリゾーニ、出演:ジョデル・フェルランド / ジェフ・ブリッジズ / ブレンダン・フレッチャーほか、カナダ / イギリス、カラー)

を観に行った。恵比寿ガーデンシネマ。完璧であった。あまりに完璧だったのでどこにどうやって言葉を挿し込んで良いのか分からない。バランスか。バランスというものから最も遠い、ある種のキッチュの祭典としての映画であるという見方に陥りがちではないかと思うのだが、そんなことはない。バランスだ。音楽で言えば、コード進行に協和的な音を選ぶという意味ではなく、積極的に不協和な音を選ぶ(というよりは「アウト」という言葉が近いか。「ト」にアクセント。)中から、その選んだ音が次につながっていく、自転車操業的なバランスの取り方、いや自転車操業とかそういう時系列の視点は重要ではないのだ、何が言いたいのかと言うと、単純な二項対立的なバランスの取り方ではなく、総体としての調和がある、ということが言いたいのである。おそらく調和という概念自体が根源的に過ぎるために分析能力は高くない感じではあるが、しかし、調和の仕方がアクロバティックであれば、それには常に心を動かされることは確かだ。そう、コーラを飲んだらげっぷが出るのと同じくらい確実!まぁどんどん外在的な話になって行くが、折りしも日本公開期間中にジョン・マーク・カーである。あまりこういうことに重きを置くのは好きではないのだが、しかし、である。この映画を観てジョンベネを想い出さない方がおかしくないか、というくらいの連想上の符号は充分に揃っていると思われるため、特にここに書き残しておく。抱えきれないほどの考える材料をありがとうという映画であるが、観る前の時点ですでに抱えきれていない。