Rousseau, Jean-Jacques, Rêveries du promeneur solitaire: 青柳瑞穂訳『孤独な散歩者の夢想』,1951,新潮文庫

読了。ルイ=ルネ・デ・フォレの「おしゃべり男」(あるいは「おしゃべり」)を読む授業でロマン主義の発露の代表例として頻繁に言及されていたのをちょうど古本屋で見つけたので買った。ルソーは初めて読んだかもしれない。とにかくこの本はどうもいけすかない感じであった。いけすかないって日本語も今ではうざいとかきもいとか何かそんなような言葉に回収されてしまうのかも知れない、とか意味もなく書いてみて気づいたけれど、わりとうざいとかきもいとかいう感じに近い感想を抱いたのかもしれない。おこがましいことは重々承知で書くが、どうもルソーのある種のヒューマニスティックなあり方は自分の通ってきた道であるような気がして、それでいけすかない感じがするのかもしれない。しかしおよそヒューマニズムというものは偽ヒューマニズムでしかない、というようなことは19世紀から20世紀の初頭くらいまでの小説家はみんな知っていたことであって、それを21世紀の初頭に今こんな風に書くのは本当にしょうがないことなのかもしれない。とにかくルソーはその偽者具合が凄く分かりやすくて、本当に漫画のように分かりやすくて、まったく困ったものだ。