Camus, Albert, 1942, L'ÉTRANGER, Paris: Editions Gallimard. 窪田啓作訳『異邦人』, 1954, 新潮文庫

読了。二年前から原書は持っていたが、今回やっと日本語訳を手に入れて読んだ。なかなかしっくりきた。まぁ極めてありきたりな感想なのだが、「全然不条理じゃないじゃん」と思ってしまった。ムルソーの心理が間接的に垣間見える描写はなかなか胸を打つものがある。もう一回読みたい。しかし原書を読んでみると、訳が驚くほどテキトーなところがあって、驚く。『失われた時を求めて』はプルースト研究者が研究の成果を反映させながら翻訳している(というか翻訳が研究の成果の結晶であるとも言える)状況でそれは大変幸福な状態であるというような話を聞いたが、確かにそれはその通り大変幸福な状態なのかもしれない。