『早坂紗知Birthday Concert』(江古田Buddy)

に行った。観客の年齢層が異様に高く、三十年前の団塊ジャズファンがすっかり俗物に成り果てた姿がごろごろしている、といういかにもしわくちゃで脂ぎった感じであった。しかしそれだけに曲が始まるとノリ方もまた古臭く、非常に好感が持てる。あんな素直な体のゆすり方はいまどき誰もしない。なので韓国の変拍子の曲ではみな固まっていた。しかしとにかくリズム隊が山下洋輔、永田利樹、大儀見元、ウィンチェスター・ニー・テテ、コスマス・カピッツァと、とにかく凄い。この日のメインは言うまでもなく早坂紗知さんなので(実は山下洋輔226生まれらしいが)リズム隊は多少遠慮気味なのだが、それでも素晴らしい。もちろん、早坂紗知さんが素晴らしい。ちょっと緩めのビート感覚が連符で解決されたりするのはなかなかよい。山下洋輔との相性がばっちりで、この二人の"My Favorite Things"のデュオが聴けたのはなかなか大収穫だった。ゲストで原田芳雄とその息子のギタリストが来ていて、親父の方は登場すると五十六十のおば様方が年甲斐もなく黄色い声を上げていて凄い人気。確かに原田芳雄の歌はよかった。とにかくリズムがあって(大儀見元はやばい)コード進行があって(調性があって)、いわゆる普通の音楽のクオリティの高いものというのは本当に素晴らしい。最近はアンヴィエントっぽいものばかり聴いていたので、なんだか新鮮だった。きわめてよいライヴであった。