バレエ・プレルジョカージュ『Les 4 saisons...(四季)』(音楽:A.ヴィヴァルディ、振付:アンジュラン・プレルジョカージュ、カオスグラフィー:ファブリス・イベール、新国立劇場中劇場)

を観た。今回はBプログラムの『四季』で、本当はAプロの『N』も観に行くつもりだったが、浮気して『TOXIC Audio』に行ったのだった。海外のカンパニーのダンスを観るのはもの凄く久しぶりな気がした。最初にビニールの雨合羽みたいなものを着て歩いて出てきた二人組みを見たときは、何だか舞踏っぽいなぁ、と思った。のだが、いざちゃんとダンサーが動き始めてみると、極めてレベルが高い。最近日本のコンテンポラリーばかり見ていたせいか、動きの安定感や切れのよさ、強度が圧倒的であった。さすが新国があいだ一年明けて二回も呼ぶだけのことはある。今回スタッフのところに「カオスグラフィー」として名前が挙がっているファブリス・イベールの功績だろうが、衣裳や装置が面白い。吊りものなども、一歩間違えればキッチュ(悪い意味での)間違いなしな感じなのに、うまくその辺りを回避しているのも評価できる。二年前にプレルジョカージュを観て、衣服が身体をいかに規定するか、というレポートを書いた記憶があるが(そのデータは消えてしまった。残念)、今回はまた違った意味で同じことを感じた。というのも、今回の衣裳は緑の全身タイツだったりハリネズミスーツだったり水着だったり、なにやら普通でないものばかりで、そのような異化の中で身体を差延してみせるやり方が、全く新しかったからだ。かといって、もちろん衣裳やセットにおんぶにだっこというわけでは決してなくて、振付一つ一つが非常に面白かった。女性のダンサー同士が体の一部をつまんで引っ張り合うところとか、肥満恐怖かしらと思ったのだがどうなのかしら。ダンサーの動きが一つ一つ本当に綺麗で、クラシカルバレエの系譜に連なる振付は、こういうときには本当に強いと思った。アンサンブルにしてもそういうった共通の土壌の上にあるせいか、一糸乱れぬ感じで凄い。何にせよ、真面目に身体を追究している点は素晴らしい。ロビーで康本雅子さんに似た人を見た。本人だったら嬉しい。