庭劇団ペニノ『ダークマスター』(脚本・演出:タニノクロウ、原作:狩撫麻礼・泉晴紀、出演:瀬口妙子・久保井研・マメ山田ほか、舞台美術:田中敏恵、こまばアゴラ劇場)

を観に行った。面白かった。しかし何が面白かったんだかよく分からない。セットのリアルさには目を見張るものがある。まぁリアルという以外にもなんだか小さい仕掛けとか大きい仕掛けとかがまた凄い感じなのだが、その辺りのギミックと劇の間に密接な連関を感じさせるのが素晴らしい。ネタがそれ単体で評価の対象になるわけもなく、劇中での何らかの形での必然性を伴っていなければならないはずで、その点この演出は凄い。観劇後の心持ちというのがまた不思議で(終演後の拍手の長さには驚いた。いや、この満足感は自分だけではなかったのだな、という意味で)、何だか素晴らしくさっぱりと殺伐とした、それでいてやすりをかけられたような気持ちになって、世界がフラットなような奥行きがあるような、非常に不可解なようなそれでいて知り得ないことはないような、全くもって奇妙な感覚を味わった。久々に観た演劇ということを差し引いても(しかし思い返してみたら一ヶ月以上観ていなかった。こんなこともあるのだな)、何だかすさまじい「演劇の力」のようなものを強烈に体感した。すごい。