2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『20世紀美術探検』展(国立新美術館)

に行った.とにかくすいていて,それだけでもう素晴らしいことには違いないが,展覧会自体もちゃんとよかった.展覧会タイトルに「探検」とかつけたくなるのも分かる.まず作品の量が本当に多いのだが,「20世紀美術」全体をカバーしようという強い意志の表…

愛は花のように(Ole!)

庭劇団ペニノ『笑顔の砦』(作・演出:タニノクロウ,出演:久保井研,マメ山田ほか,下北沢駅前劇場)

を観に行った.小劇場演劇(恥ずかしい言葉だ)を襲うウェルメイダイゼーション(明大は関係なくて,well-madization)の波がペニノにも!すさまじくよくできた,いい話の演劇であった.でもこれだったらビリー・ワイルダーの映画とか観てもいいような気もす…

Music on the planet where dawn never breaks

『セシル・テイラー&山下洋輔デュオ・コンサート』(東京オペラシティコンサートホール)

に行った.第一部がそれぞれのソロで,第二部がデュオ.いやー,もう,最高であった.と,その日から五日ほど経って思い出そうとしてみてもほとんど何も思い出せない.いやー,困ったもんだ.まあ覚えていることもある.二人の奏者がそれぞれに持っている語…

Hate This Place

Beckett, S., 1952, EN ATTENDANT GODOT, Paris: Minuit.(=1990,安藤信也・高橋康也訳『ゴドーを待ちながら』白水社)

読了.この作品はデレク・ベイリーに似ている,などという放言をしたが,まぁあながち放言とも言い切れないかも知れないのは,そのフォルムが問題になっているという点である.言説のフォルムを美学的な対象とするということは,実は高校生の頃によくやって…

Incense & Peppermints

『異邦人たちのパリ ポンピドー・センター所蔵作品展』(国立新美術館)

に行った.展覧会タイトルの「異邦人」は「エトランジェ」と読むらしく,早速というか何というか,残念な感じだ.しかし,よい作品が多かった.が,よい展覧会だったかどうかは分からない.キュレーションがあまり強い自己主張をしない展示で,それ自体は好…

また逢いましょう

ク・ナウカ『奥州安達原』(台本・演出:宮城聰,文化学園体育館特設舞台)

を観に行った.文楽で,アングラだった.臨月の妊婦の腹を切り開いて取り出した胎児をまた殺して生き血を絞る,という酸鼻を極める場面の劇的感興というのはまさに文楽のものである.その殺した妊婦が実は自分の娘であったことが発覚する,という老婆の,人…

ぼくらが旅に出る理由

佐藤健二編,1996,『都市の解読力〜21世紀の都市社会学3』勁草書房

読了.写真は今和次郎.今和次郎の仕事は本当に単純に凄く面白くて,なんともかんとも.しかし,方法については考えなければいけないが,それにしても,方法から実践は導き出されないわけで,もし導き出された気になっているのだとしたらそれは単にそういう…

SEKARASIKA

Dostoevskiy, F.M., 1866, Prestuplenie i nakazanie.(=1928,中村白葉訳『罪と罰 第一巻』岩波書店)

読了.全三巻ある.カラマーゾフの方がよくできてるし面白いんじゃないか.ラスコーリニコフがいつまでもふらふらしているので,どうにもこうにも.と,言いたい放題だなこれは.しかし自分は専門家ではないので,まぁ放言は,どちらかといえばしやすい.そ…

Hot Stuff

北田暁大,2002,『広告都市・東京 その誕生と死』廣済堂

読了.うーむ.都市社会学と都市論(通俗的都市論)の接合点として,他の追随を許さない地位を築いている,『都市のドラマトゥルギー』という本がある.著者は吉見俊哉.この吉見の『ドラマトゥルギー』は,タイトルの通り,都市を消費社会的な演技の空間と…

Exiles

『愛しあう FAIRE L'AMOUR』(原作:ジャン=フィリップ・トゥーサン,演出・脚本・映像・振付・衣装:ヴェロニク・ケイ,出演:ピエール・ミニャール/康本雅子,音楽:フレデリック・ミニエール,横浜赤レンガ倉庫)

を観に行った.もちろん康本雅子を観に行ったのだが,やれやれだぜ,って感じだ.ドアタマで康本雅子が舞台に入ってきてそのまま倒れ込むのだが,その倒れ込む様があまりに素晴らしくて,この人のからだはなんて素晴らしいのだろう,と再確認した(そう言え…

This city is too jazzy to be in love

見田宗介,1979,『現代社会の社会意識』弘文堂

読了.所収の「まなざしの地獄」が目的.連続射殺犯の永山則夫という人物について多面的に見ていくと,現代の都市は他者からのまなざしによる地獄だ!って話.だと思う.それで,なんかそれはちょっとした古典として扱われているので,ふまえなければならな…

Get Down, Make Love

『TOKYO LOOP』(制作:イメージフォーラム,音楽:山本精一,日本,カラー)

を観に行った.なかなかおもしろかった!現代美術や現代音楽は,その作品とうまくコミュニケーションできると,おもしろい.しかしやはり,コミュニケーションが出来ても作品がおもしろくない場合というのもあって,どうもその作品の世界観がナイーヴだと,…

あなただけを〜Summer Heartbreak〜

森川嘉一郎,2003,『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』幻冬舎

読了.色々と,まぁ,「まったくまたこんな本読んで・・・」みたいな感想をお持ちの方が,いるのかいないのか知らないけれど,とにかく,ちょっと話題にはなったのである.で,読んでみると,ちょっとおもしろい.特に,趣味の構造がある特定の都市(秋葉原…

THE W.A.N.D. (The Will Always Negates Defeat)

吉見俊哉・若林幹夫編,2005,『東京スタディーズ』紀伊國屋書店

読了.帯がいかにもまずそうな感じではあるものの,わりかしよい本である.特に北田暁大と森川嘉一郎の書いたものがそれぞれ『広告都市』と『趣都の誕生』のダイジェストみたいになっていて,大意を取るのに役立つ.それにしても何とも玉石混淆である.この…

ZAZENBEATS KEMONOSTYLE

アルノー・デプレシャン監督,1996,『そして僕は恋をする』(出演:マチュー・アマルリック,エマニュエル・ドゥヴォスほか,フランス,カラー)

を観た.VHSで.身も蓋もない映画だった.あられもない.大胆不敵.音楽(選曲とタイミング),カメラワーク(特にズーム),カットバックなど,すべて身も蓋もない.で,ストーリーや個々のセリフがまた,身も蓋もないのである.その身も蓋もなさというのは…

あの男のウォーキング・テンポ